「世界糖尿病デー」について

世界糖尿病デーとは

11月14日の世界糖尿病デーは、世界に拡がる糖尿病の脅威に対応するために1991年にIDF(国際糖尿病連合)とWHO(世界保健機関)が制定し、2006年12月20日に国連総会において「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議(UN Resolution 61/225)」が加盟192カ国の全会一致で採択されると同時に、国連により公式に認定されました。11月14日は、インスリンを発見したカナダのバンティング博士の誕生日であり、糖尿病治療に画期的な発見に敬意を表し、この日を糖尿病デーとして顕彰しています。
世界糖尿病デーは、現在、世界160カ国から10億人以上が参加する世界でも有数な疾患啓発の日となっており、この日を中心に全世界で繰り広げられる糖尿病啓発キャンペーンは、糖尿病の予防や治療継続の重要性について市民に周知する重要な機会となっています。
世界糖尿病デーのキャンペーンには、青い丸をモチーフにした「ブルーサークル」が用いられますが、これは、糖尿病に関する国連決議が採択された翌年2007年から使われるシンボルマークです。国連やどこまでも続く空を表す「ブルー」と、団結を表す「輪」をデザインし、”Unite for Diabetes”(糖尿病との闘いのため団結せよ)というキャッチフレーズとともに、世界中で糖尿病抑制に向けたキャンペーンを推進しています。


世界で5秒に1人の命を奪う糖尿病

糖尿病は今や世界の成人のおよそ10人に1人(10.5%)、5億3700万人が抱える病気です。一般的に死に至る病気との認識は薄いですが、年間実に670万人以上が糖尿病の引き起こす合併症などが原因で死亡しています。これは世界のどこかで、5秒に1人が糖尿病に関連する病で命を奪われている計算となり、AIDSによる死者に並ぶ数字です。ちなみに、国連決議が採択された2006年は10秒に1人でしたから、残念なことに16年間で半分の秒数になってしまいました。。このまま進むと、世界の糖尿病人口は、2045年には約7億8300万人に達することが予想されています。糖尿病患者の増加は特に発展途上国で顕著に見られ、経済成長、生活水準の向上、教育改善の大きな妨げとなっています。

IDFによると・・
・2021年 世界の成人(20-79歳)糖尿病人口は5億3700万人⇒2045年には約7億8300万人に増加と予測。そのうち、50.1%は診断されていない状況です。糖尿病の診断の遅れは合併症発症リスクを高めます。
・2021年 世界で670万人が糖尿病の合併症などで死亡しています。
・世界の20歳以下の1型糖尿病患者数は、120万人以上、そのうち54%は15才以下となっています。184,000人が毎年新たに1型糖尿病と診断されていま。
・糖尿病の成人の4人に3人が低・中所得国に住んでいます。
・2021年 世界の糖尿病治療と合併症管理にかかる医療費は9,660億USD(約143兆8300億円)となり、15年間で316%増加しました。

出典:IDF Diabetes Atlas 10th edition 2021

日本国内での脅威

2016年に実施された糖尿病実態調査※によると、日本には約1000万の「糖尿病が強く疑われる人」が存在します。さらに、「糖尿病の可能性を否定できない人」も約1,000万人おり、合計で総人口の15%を超える約2,000万人の糖尿病患者および予備群がいると推定されています。糖尿病の重症化予防のためには早期発見・早期治療が重要ですが、医療機関や健診で糖尿病といわれたことのある人の中で、「治療を受けていない」人の割合は、特に男性の40〜49歳の働き盛り世代で最も高く、約5割が未受診または治療中断という状況です。糖尿病には痛みなどの自覚症状が少ないことから、疑いがありながらそのまま治療を受けないケースが多くあることが、その要因と考えられています。

※平成28年国民健康・栄養調査